講師の高木です。
元ラジオ局アナ・報道記者の経験から、全国各地の自治体・公的機関で
「危機管理・マスコミ対応研修」や「説明力向上研修」などを行っています。

今回のテーマはこちら。
「知床遊覧船 沈没事故後の会見 赤いネクタイの話(2022年)」

(画像はイメージです。実際の画像とは異なります。)

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2024年9月18日、北海道・知床の観光船沈没事故の
運行会社社長の逮捕のニュースが報じられました。

知床観光船「カズワン」事故、桂田精一社長を逮捕…安全確保怠り26人死亡させた疑い
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240918-OYT1T50076/

知床観光船沈没、運航会社社長を逮捕 業務上過失致死容疑 海保
https://mainichi.jp/articles/20240918/k00/00m/040/125000c

2025年11月、この事故に関する初公判が開かれました。
その関連記事も紹介します。

知床・観光船事故初公判 桂田社長側、無罪主張「業務上過失致死は成立しない」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1236899/

桂田社長側が無罪主張 「罪の成立、分からない」―知床観光船事故初公判・釧路地裁
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025111200101&g=soc

(紹介記事はリンク切れの場合があります。ご了承下さい)

大切な人を亡くされた皆様へ心よりお悔やみを申し上げます。

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あらためてこの事案をふりかえりましょう。

●北海道・知床 観光船沈没事故(2022年4月)

■事案

・2022年4月23日 北海道・知床半島の沖合で
 乗客・乗員計26人が乗った観光船カズワンが遭難。

・記者会見の4月27日時点で 死亡11人、行方不明15人と発表。
 その後、乗客乗員26人全員の死亡または行方不明が確認される。

■会見

・発生から5日目の4月27日、運行会社「知床遊覧船」の
 桂田精一社長が記者会見を開き、3度土下座し、謝罪。

・桂田社長は、事故状況や安全管理体制などを説明。

・しかし社長の説明と実態との食い違いが次々と判明
 説明は曖昧な回答に終始。言いよどむ場面も多かった

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この時、一部メディアは会見時の桂田社長の「赤いネクタイ」や
会見時の様子を問題視しました。

謝罪会見に「赤いネクタイ」を締めてきた知床遊覧船社長 ニッポン放送
https://news.1242.com/article/357888

「茶番」「遅すぎる」 乗客知人らは憤り 知床遊覧船社長会見
https://mainichi.jp/articles/20220427/k00/00m/040/341000c

(紹介記事はリンク切れの場合があります。ご了承下さい)

「死者・行方不明者多数の状況で、赤いネクタイは場にそぐわない」
「黒に近い色や濃い色のネクタイをすべき」などの見解です。

テレビ等で会見の様子を見た皆様も同様の違和感を感じたかと思われます。

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ここからは私の危機管理広報に関する見解となります。

この事故と会見を通じて言えることは、安全管理体制の重大な不備のみならず、
緊急記者会見でも不備があった、という事です。

緊急記者会見は、報道機関を通じ事実説明や謝罪、再発防止の説明など
重要メッセージを発信する場です。

会見者や広報担当者は、会見で述べるコメント内容や配布資料だけに気を奪われてはいけません。
報道機関の先には、多数の視聴者、読者がいて、遺族、被害者、利害関係者もいます。

重要な緊急記者会見に臨む際は、入念な準備をして、言葉以外の「非言語情報」
=ノンバーバル・コミュニケーションの面でも、細心の注意を払うべきなのです。

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会見時の外見=非言語情報について補足しましょう。

私の危機管理・マスコミ対応研修では、

「外見もメッセージ」
「緊急記者会見では外見等のエラー要素を無くす」 

との説明を繰り返し伝えています。

また、緊急記者会見がテレビ・ネット動画等で流れるケースでは、

「胸像(=デコルテ)にも気を配ってほしい」

とも伝えています。

緊急記者会見の際、胸像の部分=ネクタイ・スカーフなどは控えめな色で徹底。

男性のワイシャツもカジュアルなワイドカラーやボタンダウンでなく、
レギュラーカラーが推奨されます。

緊急記者会見時は、外見の要素で「悪目立ち」をしてはいけないのです。
外見上の配慮は、被害者、遺族、関係者への配慮でもあるからです。

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まとめです。

・緊急記者会見では、ネクタイの色までもニュースになる時代。
・会見時の「非言語情報」の配慮を徹底。悪目立ちしない。
・デコルテ(胸像)の部分には特に気を配る。

以上、皆様のご参考になれば幸いです。
(講師:高木圭二郎)


この記事を書いた人

高木 圭二郎(たかぎ けいじろう) 

研修講師・フリーアナウンサー トークレスキューNEXT代表
(元 茨城放送アナウンサー兼 ディレクター・報道記者)

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