講師の高木です。元ラジオ局アナ・報道記者の経験から、
全国各地の自治体・公的機関で「危機管理・マスコミ対応研修」を行っています。
今回のテーマはこちら。「不正のトライアングル」(画像はイメージです)
私の「危機管理・マスコミ対応研修」の中では、不正・不祥事の問題に
ついても詳しく説明しています。
もし組織で不正・不祥事が生じると、組織内のダメージだけでなく、
対外的な信用失墜にもつながり、民間企業の場合は大幅な収益源にもつながります。
不正・不祥事は絶対に起こしてはいけない問題。
しかし実際の問題として各地で頻発しています。
私は「危機管理・マスコミ対応研修」の中で、不正・不祥事の研究について触れ、
その中で「不正のトライアングル」を紹介しています。
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この「不正のトライアングル」はアメリカの組織犯罪研究者の
ドナルド・R・クレッシーが論じた内容。
様々な書籍や文献でも紹介されている有名な理論です。
私は研修内で次のように紹介しています。
■「不正のトライアングル」とは
・組織犯罪研究者のドナルド・R・クレッシーの理論
・不正・不祥事が生じ、根付く要因として、
「動機・機会・正当化」の3要素が挙げられる。
・不正の動機
他人と共有できない問題
個人の場合=処遇不満、叱責等
組織の場合=ノルマ、圧力、利益供与等
・不正の機会
監査の形骸化 等
(例)起票・承認が同一人物
・不正の正当化
善意・良心封じ込め・理由付け
(例)自分だけでない、悪いのは組織 等
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この不正のトライアングルに重なる不祥事の事例として
私は滋賀県甲良町で2016年に発覚した公金着服事件の事例を紹介しています。
この公金着服事件の概要はこのようなものでした。
■滋賀県甲良町 公金着服事件(2016年1月)
・甲良町の税務課職員(当時29歳)が約3000万円の横領をしていたことが発覚。
この元職員は、後に懲戒免職。逮捕・再逮捕・起訴の流れをたどる。
・この元職員は、収納データ改ざんと隠ぺい工作を実施。
窓口で発行した領収書の控えを、自身の机の中に保管していた。
・被害を精査したところ、被害認定額が41,089,582円と判明。
被害額の大半は両親が弁済し、元職員は、返済確約書提出。
・この元職員は着服した金を、旅行、飲食支払い、高級車、スーツ購入等に利用。
「窓口で住民の文句。そこまでの給料を貰っていなかった。」などとコメント。
・第三者委員会は「収納印の扱いが不十分。 監査も機能せず
権限が付与された税務課職員であればデータ改ざんが容易」と報告。
(参考資料)
甲良町公金着服事件に関する第三者調査委員会報告書の受領及び今後の対応について (PDFファイル: 369.3KB)
https://www.kouratown.jp/material/files/group/53/1.pdf
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この滋賀県甲良町の公金着服と、「不正のトライアングル」の関係性を整理します。
・元職員が「窓口で住民の文句を受けていた」ことなどが「不正の動機」に該当。
・そのうえで、元職員が税務課職員だった立場から「収納データ改ざん」などを実施。
これは「不正の機会」に該当。
・さらに「窓口での住民の文句」について「そこまでの給料を貰っていなかった。」と
「不正の正当化」をしていることが見受けられます。
不正のトライアングルの構成要素=「動機・機会・正当化」が
見事に当てはまる事例と考えられるわけです。
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では不正対策はどうするか?
これは一筋縄ではいかないのが実情です。
不正・不祥事の再発防止策・予防策として挙げられるのは、
・職員研修の実施
・監査体制の強化
・職場内コミュニケーションの強化
・内部統制の実践
などとなりますが、それでも組織の不祥事が後を絶たない、
というのが私の実感です。
しかしそれでも、組織の人事・総務等の皆様には根気強く
不正・不祥事対策を行ってほしいと私は考えています。
今回のコラムでは、まず不正・不祥事の研究成果を知っていただく、
ということに主眼を置きました。
今回のまとめです。
クレッシーの「不正のトライアングル」は「動機・機会・正当化」。
この理論をぜひ覚えておいてください。
皆様のご参考になれば幸いです。
(講師:高木圭二郎)
この記事を書いた人
高木 圭二郎(たかぎ けいじろう)
研修講師・フリーアナウンサー トークレスキューNEXT代表
(元 茨城放送アナウンサー兼 ディレクター・報道記者)
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