講師の高木です。
元ラジオ局アナ・報道記者の経験から、全国各地の自治体・公的機関で
「危機管理・マスコミ対応研修」や「説明力向上研修」などを行っています。

今回のテーマはこちら。
マスコミ対応 「聞かれたことにそのまま答えない」場合とは?

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私の「危機管理・マスコミ対応研修」では、模擬記者会見も数多く行っています。
(おかげさまでこの研修と模擬記者会見は、各地の自治体・公的機関等で実績を重ねております。)

その模擬記者会見時の講義で、私は次のようなポイント説明を行っています。それは

「マスコミ対応では、報道陣の質問にそのまま答えないこともある」

との解説です。この話をすると、時々

「え?そうなんですか?」

などとと言われます。
詳しく説明しましょう。このような状況を想定して下さい。

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■緊急記者会見の状況想定(一例)

・不祥事・トラブル・事故等で重大事案が発生。

・組織内では急きょ、対策本部も設置。
 クライシスの度合い、ネガティブ報道のリスクを総合判断し
 「これは緊急記者会見を開くしかない」との状況となる。

・この緊急記者会見は社会的関心度の高いニュースになる見通し。

・案内を受けた報道関係者が多数、会見場に集まる。

・集まる報道関係者としては、日本新聞協会(新聞協会)や
 日本民間放送連盟(民放連)に加盟する新聞社・通信社・放送局の記者が多数。

・さらに、業界紙、出版関係者、情報番組関係者、フリーランス記者らも取材依頼…

…という想定の状況です。

このような緊急記者会見は都市部で時々見られますが、
状況によっては「場が荒れる」ことが想定されます。

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緊急記者会見で「場が荒れる」状況を想定しましょう。

報道関係者は真摯な姿勢で丁寧に質問する記者も多いのですが、
注目度の高い緊急記者会見では以下のような記者も見受けられます。

■記者会見で「場が有れる」状況と報道陣(一例)

・会見者を悪者扱いし、勧善懲悪の姿勢で臨む記者
・活動家のように大声で威圧する記者
・自説を長々と述べ、質問が不明瞭な記者
・一回の挙手で何点もの質問をする記者
・「更問い」で同じことをしつこく聞く記者
・現時点で回答できないことを何度も聞く記者
・会見者に無理難題を求める記者 など

用語説明をします。

「更問い」とは、一人の記者が続けて質問すること(=更に問うこと)。
「更問い」も緊急記者会見の場ではよく見られる光景です。

最近の緊急記者会見は、ネット動画で全編ノーカット配信、というケースも増えており、
皆様もこのような報道陣の様子をテレビやネット等で見たことがあるかと思います。

こうした場が荒れる状況も想定して、私は危機管理・マスコミ対応研修の中で

「マスコミ対応では、報道陣の質問に『そのまま答えない』こともある」

と説明しています。

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解説です。

そもそも緊急記者会見は、重要情報を確認する場です。

報道陣にとっては、会見者から重要情報を引き出すことこそが目的で、
事故やトラブル時の会見では、二次被害防止や再発防止の情報が出ることも考えられます。

よって会見時の質疑応答では、報道陣が声を荒げる必要性は実は薄く、
適切な質問をすれば、会見者から重要情報を引き出せるわけです。

緊急記者会見は、報道陣の発散の場ではないのです。

ですが最近の報道陣やフリーランス記者の中には、この点を勘違いして
「声を荒げる」「長々と自説を述べる」等のケースが散見されます。

背景には「WEB・SNSでのアクセス増を狙う記者」の存在が考えられます。
やや過激な質疑応答をして注目度を高め、アクセス増を図ろうとする報道陣の存在です。

よって会見者側の皆様や広報担当の皆様は、こうした報道陣のWEB事情も踏まえて、
冷静に対応しなければいけません。

報道陣が荒い口調で会見者に問いただしても、「売り言葉、買い言葉」のやり取りは、
絶対に決して行ってはいけません。

緊急記者会見の場のケンカ口調は、即座にネット炎上となってしまいます。

また緊急記者会見の場では、報道関係者から「浅薄な質問」や、
会見者を悪者と決めつける「決めつけの質問」が相次ぐこともあります。

そのような時にも「聞かれたことにそのまま答えない」との技法が効果的となります。

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さらに解説しましょう。

「聞かれたことにそのまま答えない」との手法の具体策の一つが、、
「キーメッセージを繰り返すこと」です。

もし報道陣が強い口調で迫ってきても、落ち着いて冷静に「キーメッセージ」を繰り返しましょう。

「キーメッセージ」の代表例は「事実説明・謝罪・再発防止」など

「事実説明」は、その時点で判明していることを丁寧に説明。
・組織に非があれば「謝罪」のコメントを繰り返し伝達。
「再発防止」の情報も、繰り返しで良いので何度も伝える。

との姿勢が有効となります。

この時、声のトーンを落とすことや、ゆっくり話すことも大切です。

声のトーンを落とすことや、スローペースで話すことは、
荒れ気味の記者会見会見の場を落ち着かせる意味があります。

相手が荒い口調でも、一呼吸おいて、静かに丁寧にスローペースで対応。
この対処法を最後まで徹底して続けてください。

まとめです。

・荒れ気味の記者会見では「聞かれたことにそのまま答えない」こともある。
・対処法の一つが「キーメッセージ(事実説明・謝罪・再発防止)」を繰り返すこと。
・会見の場では常に冷静に。口調は静かに、丁寧に、スローペースを意識。

今回は緊急記者会見に臨む可能性のある組織トップの皆様や、幹部の皆様、
管理職の皆様にぜひ知っていただきたいポイントを紹介しました。

長文となりましたが、皆様のご参考になれば幸いです。
(講師:高木圭二郎)


この記事を書いた人

高木 圭二郎(たかぎ けいじろう) 

研修講師・フリーアナウンサー トークレスキューNEXT代表
(元 茨城放送アナウンサー兼 ディレクター・報道記者)

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