講師の高木です。元ラジオ局アナ・報道記者の経験から、
全国各地の自治体・公的機関で「危機管理・マスコミ対応研修」を行っています。

今回のテーマはこちら。「囲み取材・ぶら下がり取材の話(2)」(画像はイメージです)

今回は前回記事の続きとなります。

前回記事はこちら
【研修コラム】報道記者の視点 囲み取材・ぶら下がり取材の話(1)
talkrescue.jp/archives/4141

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私は茨城放送の報道記者時代、茨城県庁(県政)、茨城県警、水戸市、日立市の
各記者クラブに所属し、緊急記者会見や謝罪会見を多数取材してきました。

その際、記者クラブ内で多数の「囲み・ぶら下がり」取材も多数経験。
しかし「囲み・ぶら下がりの取材は受けてはいけないもの」との教えがある、
などと説明しました。

緊急記者会見の場での「囲み取材・ぶら下がり取材」、
受けるべきか、受けないべきか、どちらが正しいのでしょうか?

私は「ケース・バイ・ケース」というスタンスで説明しています。
私の「マスコミ対応研修」での説明は次のようなものです。

■「囲み」「ぶら下がり」と取材現場の実情

・「会見後の囲み・ぶら下がりは受けずに退席」との教えが一般的である

・これは会見後の混乱回避が主な目的で、大企業のトップが登壇する会見や、
 テレビ中継される記者会見では、この教えの通りにすることが推奨される。

・しかし地方ローカルの記者クラブや小規模の会見では、現実問題として
 「囲み・ぶら下がり」の取材が多々見られる。

・報道記者は、正式な記者会見と別のところで個別取材をして、
 独自の記事に仕上げるためである。

・事案の重要度、会場規模、報道陣の人数などを考慮して
「囲み・ぶら下がりもありうるもの」と考えるのが現実的である。

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事実、私が担当した茨城県庁記者クラブ(県政記者会)の事例で言えば、

・知事定例会見=
 広い会見場がセッティングされ、囲み・ぶら下がり無し。

・原子力事故等の緊急記者会見=
 記者クラブでの会見。
自然発生的に囲み・ぶら下がり取材が頻発

という違いがありました。

特に新聞社、通信社、NHKの記者は、囲み・ぶら下がりの取材で
徹底取材をする様子が、私が在籍した県庁記者クラブでも多々見受けられました。

報道記者にとって、緊急時の「囲み取材・ぶら下がり取材」は大切な仕事の一つ。

正式な記者会見では出てこなかった詳細の情報を個別に聞きたい場合や、
重要度の高い情報が後から出そうな場合には、「囲み取材・ぶら下がり取材」で
周囲の記者の質疑応答の内容もメモしながら、徹底取材をするしかないのです。

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では緊急記者会見で「囲み取材・ぶら下がり取材」に対応するにはどうするか?
大きく3つのパターンが挙げられます。

■緊急記者会見 囲み取材・ぶら下がり取材の対応パターン

(1)司会が最初に「囲み・ぶら下がり」対応が無いことを伝える。
  (=緊急記者会見の場で全て質問してほしい、との説明)

(2)自然発生的に「囲み・ぶら下がり」が生じたら、
   主会見者(スポークスパーソン)らは退席。現場担当者が残り、報道対応をする。

(3)「囲み・ぶら下がりは有るもの」と考え、報道陣の質疑応答には
   会見開始から「囲み・ぶら下がり」まで会見者全員が全て応じる。

このようなパターンがあると思われます。
よって、事案の重要度、会場規模、報道陣の人数・反応などを考慮して
ケース・バイ・ケースの対応するのが適切、と言えるのです。

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緊急記者会見が開かれる際、会見者側は「事実説明、謝罪、再発防止」などの
「キーメッセージ」をしっかりと伝える必要があります。

この時、一方的に会見者都合で一方的に会見を終わらせては、
「何のための記者会見なのか」と反感を買うことになってしまいます。
自然発生的に「囲み取材・ぶら下がり取材」が生じた時も同様です。

有事の際こそ、報道陣に丁寧に説明する姿勢が大切です。

緊急記者会見の際は、「囲み・ぶら下がり取材」への対応も、
あらかじめ想定しておくことを推奨します。

以上、皆様のご参考になれば幸いです。
(講師:高木圭二郎)


この記事を書いた人

高木 圭二郎(たかぎ けいじろう) 

研修講師・フリーアナウンサー トークレスキューNEXT代表
(元 茨城放送アナウンサー兼 ディレクター・報道記者)

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