講師の高木です。元ラジオ局アナ・報道記者の経験から、
全国各地の自治体・公的機関で「危機管理・マスコミ対応研修」を行っています。
今回のテーマはこちら。「報道陣は『枠』の有無も意識する」(画像はイメージです)
今回も結論から。
「テレビ・ラジオのニュースや、新聞紙面では『空き枠』が減るタイミングがある。」
「その空き枠の有無も意識すると、効果的な情報発信につながる。」
というのが今回の結論です。
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詳しく説明しましょう。
・テレビ・ラジオのニュース=通常のニュース放送時間は、番組編成上ほぼ確定。
(=ニュース速報、重要ニュースの延長放送、特番形式のニュース等は除く。)
・新聞のニュース=紙面の構成上、行数・字数の制限がある。
(=ネット上のニュース、号外等を除く。)
ということで、ニュースを流せる放送時間や、ニュースを記事化する新聞紙面については
レギュラーの『空き枠』があらかじめ決まっており、報道記者はその時間や行数に納めるよう
日々ニュース原稿を作成しています。
これは当然と言えば、当然の話ですよね。
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ですが、この「ニュースの空き枠」が極端に減るタイミングがあります。
これは報道陣にとっての常識なのですが、意外と知られていないポイントです。
私は「マスコミ対応研修」や「情報発信力向上研修」で、
「ニュースの空き枠が減るタイミング」として、3つの主な事象を紹介しています。
その3つの主な事象とは、
(1)選挙
(2)災害
(3)高校野球 です。
なるほど、とお気づきの方も多いと思いますが、一つずつ説明しましょう。
(1)選挙
・選挙シーズンには新聞紙面で候補者の横顔が紹介され、特集記事が組まれます。
結果、紙面の「空き枠」が極端に減ります。
・テレビ・ラジオのニュースでも特にNHKなどは選挙関連の特集を組み、
その他の情報を流す放送時間の「空き枠」が減ることになります。
(2)災害
・大規模災害が生じた際は、当然、その災害報道や関連ニュースが優先されます。
・平時に流すようなホットな話題はなかなか紹介できない、という事が生じます。
(3)高校野球
・高校野球は全国的な注目度が高く、特に6月~7月、都道府県版の紙面では
夏の高校野球の出場チーム紹介や大会展望の記事が増えます。
・夏の高校野球の主催社である朝日新聞では勿論のこと、他の新聞社でも同様の
「高校野球重視」の傾向が見られます。その結果、街の話題や人物インタビュー等の
掲載・紹介は激減することになります。
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こうした傾向は、放送局や新聞社・通信社の取材体制とリンクしています。
記事を書ける報道記者は、無尽蔵に存在するわけではありません。
現場取材をして、インタビューを重ね、記事に仕上げるという作業は、
実は専門性が非常に高い仕事。専門職としての報道記者の人数は限られており、
さらに一定のキャリアを重ねないとシャープな記事は書けないのです。
作成された記事も「デスク」と呼ばれる職位の人物が入念にチェックします。
記事に誤りが無いか、配信して大丈夫か、というチェックが行われます。
新聞社の場合は、「整理記者」と呼ばれる専門職の方がいて、
ここでも字数や内容が詳しく確認されます。
しかも近年は、各新聞の発行部数の激減や、放送局の人員削減等が重なり、
このところニュースの現場では経費削減が加速する傾向が顕著。
慢性的なヒューマン・リソースの不足も生じているのです。
となると、重要度・緊急度・社会的関心度の高い情報が最優先されます。
その際「ニュース・記事の空き枠の有無」も考慮されるのです。
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広報担当の皆様や、取材対応をされる皆様には、こうした報道陣の事情
=「ニュースの空き枠を考える特性」を踏まえて、情報発信のタイミングを
調整してほしいのです。
例えば、ホットな話題や、特集記事向けの人物の情報がある場合、
「選挙前、災害時、6-7月の高校野球前の時期を外して、プレスリリースを出す」
といった調整を行えば、ニュース扱いや記事化される確率がより高まるわけです。
せっかくのニュース素材ならば、よりしっかりとした記事にしてほしいですよね。
ということで今回のまとめです。
「報道陣は、放送記者・ペン記者ともニュースの空き枠を意識する。」
「情報発信の際は、ニュースの空き枠の有無をも意識するのが効果的。」
広報担当の皆様、この傾向や特性をぜひ知っておいてください。
皆様のご参考になれば幸いです。
(講師:高木圭二郎)
この記事を書いた人
高木 圭二郎(たかぎ けいじろう)
研修講師・フリーアナウンサー トークレスキューNEXT代表
(元 茨城放送アナウンサー兼 ディレクター・報道記者)
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