講師の高木です。
元ラジオ局アナ・報道記者の経験から、全国各地の自治体・公的機関で
「危機管理・マスコミ対応研修」や「説明力向上研修」などを行っています。
今回のテーマはこちら。
「報道記者の視点 報道陣は「枠」の有無も意識する」

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結論からお伝えします。
「テレビ・ラジオのニュースや、新聞紙面では『空き枠』が減るタイミングがある。」
「その空き枠の有無も意識すると、効果的な情報発信につながる。」
というのが今回のポイントです。
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詳しく説明しましょう。
▼テレビ・ラジオのニュース=通常のニュース放送時間は、番組編成上ほぼ確定。
(=ニュース速報、重要ニュースの延長放送等は除く。)
▼新聞記事=紙面の構成上、行数・字数の制限がある。
(=ネット上のニュース、号外等を除く。)
ということで、ニュースの放送時間や、新聞記事の掲載スペースについては
「ニュース用の空き枠」があらかじめ決まっており、
報道記者は放送時間や紙面上の行数に納める「ニュース編成」の作業をしています。
ニュースの編成作業としては、
テレビ・ラジオのニュースでは、1記事を1分~1分半程度でまとめることが多く、
新聞記事では、ニュースの重要度に応じて行数でカウントして記事を仕上げます。
(※ニュースの重要度により、放送時間、行数は変動します。)
こうした「ニュース編成」を日々行うことで、放送時間や、新聞紙面に収まる
との流れになるのですが、これは当然と言えば、当然の話ですよね。
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さて今回の本題です。
この「ニュースの空き枠」が極端に減るタイミングがあります。
私は、ニュース編成にも影響する3つの主な事象として、以下のことをお伝えしています。
通常のニュースが減る3つの主な事象とは、「選挙・災害・高校野球」です。
なるほど、とお気づきの方も多いと思いますが、一つずつ説明しましょう。
■通常のニュースが減る主なタイミング
(1)選挙
・選挙シーズンには新聞紙面で候補者の横顔が紹介され、選挙関連の特集記事が組まれます。
その影響で通常の記事を掲載する紙面上の「空き枠」が極端に減ります。
・テレビ・ラジオのニュースでも、特にNHKでは選挙関連の特集を組むことが多く、
他の情報を流すニュースの「空き枠」が減ることになります。
(2)災害
・大規模災害が生じた際は、当然、その災害報道や災害関連の生活情報などが優先されます。
・街の話題や人物インタビューなどは、情報の優先度から後回し、という事象が生じます。
(3)高校野球
・高校野球は全国的な注目度が高く、特に6月~7月にニュースの「空き枠」が減ります。
新聞紙面では、都道府県版の紙面等で夏の高校野球の出場チーム紹介や大会展望の記事が増加します。
・高校野球の主催社である毎日新聞・朝日新聞だけでなく、他の新聞社でも同様の
「高校野球重視」の傾向が見られます。その結果、街の話題や人物インタビュー等の
掲載・紹介は激減することになります。
通常のニュースが減るタイミングは、「選挙・災害・高校野球」の他にもあり、
オリンピック、ワールドカップ等のスポーツイベント等でも「通常ニュースの空き枠」が
減ることが恒例化しています。
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最近の報道機関の事情についても説明しましょう。
ニュースの記事量は、放送局や新聞社・通信社の取材体制ともリンクしています。
記事を書ける報道記者は、無尽蔵に存在するわけではありません。
現場取材をして、インタビューを重ね、記事に仕上げるという作業は、非常に専門性が高い仕事。
報道記者には専門職としての知見が求められます。そのような報道記者の人数は限られており、
さらに一定のキャリアを重ねないと、シャープな記事は書けないのです。
作成された記事も「デスク」と呼ばれる職位の人物が入念にチェックします。
記事に誤りが無いか、配信して大丈夫か、というチェックが行われます。
また新聞社の場合は「整理記者」と呼ばれる専門職の方がいて、ここでも字数や内容が詳しく確認されます。
よって新聞やテレビ等でニュース記事を世に出す過程では、多数の専門職の方々が関与しているのです。
ですが近年は、ネットニュース全盛の時代。
新聞の発行部数の激減や、放送局の収益減は深刻な問題となっています。
その結果、報道現場の人員削減が生じ、報道現場では支社・支局の統合・閉鎖も進んでいます。
ニュースの現場では、専門的な知見や、高い見識を持つ報道記者が減る傾向もあるようです。
となると、重要度・緊急度・社会的関心度の高い情報が優先されます。
ネット上のアクセス増を狙えるか、注目を集め「バズる」記事になるか、
といった視点も報道の現場では増えつつあるようです。
(※バズる=ネット上で多数の注目やアクセスを集めること。)
今回ピックアップした「選挙、災害、高校野球」の情報はネットニュース上でも、
多くの人々の関心度の高い情報とされ、報道陣がこうした取材に注力、という傾向も見られるようです。
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こうした情勢を踏まえ、私から「広報戦略」に関する提案をさせていただきます。
広報担当の皆様や、報道陣との取材対応をされる関係者の皆様には、報道陣の事情
=「ニュースの空き枠を考える特性」を踏まえて、情報発信のタイミングを調整してほしいのです。
例えば、ホットな話題や、特集記事になりそうな人物や事象の情報がある場合、
「選挙・災害・高校野球の時期を外して、プレスリリースを出す」などの広報戦略はいかがでしょうか?
こうした情報発信の調整を行えば、ニュース扱いや記事化される確率がより高まるわけです。
せっかくのニュース素材ならば、よりしっかりとした記事にしてほしいですよね。
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今回のまとめです。
・報道陣は、放送記者・新聞記者とも「ニュースの空き枠」を意識する。
・ニュースの「空き枠」が少なくなるのは、「選挙・災害・高校野球」など。
・情報発信の際は、ニュースの空き枠の有無をも意識するのが効果的。
広報担当の皆様、報道陣の傾向や特性をぜひ覚えておいてください。
そして効果的な情報発信を行ってください。
以上、皆様のご参考になれば幸いです。
(講師:高木圭二郎)

この記事を書いた人
高木 圭二郎(たかぎ けいじろう)
研修講師・フリーアナウンサー トークレスキューNEXT代表
(元 茨城放送アナウンサー兼 ディレクター・報道記者)
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https://talkrescue.jp/instructor/profile
講師活動の実施実績はこちら。
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