※このコラム記事は2024年(令和6年)1月に執筆したものを
2025年12月に加筆修正したものです。

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令和6年能登半島地震でお亡くなりになられた皆様に
あらためてお悔やみを申し上げますととともに、
被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
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講師の高木です。
元ラジオ局アナ・報道記者の経験から、全国各地の自治体・公的機関で
「危機管理・マスコミ対応研修」や「説明力向上研修」などを行っています。

今回のテーマはこちら。
災害への備え「被災地首長24か条メッセージ」の話

(画像はイメージです)

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今回のコラム記事の内容は、災害発生時に対応にあたる
自治体・公的機関・関係機関の管理職の皆様にとくに知ってほしい内容です。

災害発生時には、必然的に職場の業務量が増大します。

特に災害対応にあたる自治体、関係機関等では通常の業務量を大幅に超える作業量が生じ、
平時に出来ていた作業も出来なくなるなど、様々な場面で機能不全が生じます。

そこで参考にしてほしい情報が、今回紹介する
「災害時にトップがなすべきこと」という条文集です。

内閣府防災情報のページ「災害時にトップがなすべきこと」紹介ページ
https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h29/87/news_02.html

本文PDF
「災害時にトップがなすべきこと」24か条  本文(国土交通省ページ)
https://www.cbr.mlit.go.jp/mie/river/conference/saigai/file/h29_0529_siryou-4-2.pdf

この「災害時にトップがなすべきこと」は、過去に被災した経験を持つ岩手・宮城・熊本などの
被災自治体の首長が集まって作り上げた24か条のメッセージ集です。

題名は「トップがなすべきこと」となっており「首長から首長へ」のメッセージの様ですが、
よく読むと、自治体・関係機関の管理職はじめ現場で働く皆様にも多くの気付きを与える内容。
一般市民の皆様にとっても、防災意識向上につながる「被災地からの生の声」となっています。

その一部を引用させていただきます。

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「災害時にトップがなすべきこと」より抜粋

【Ⅰ 平時の備え】

2 自然の脅威が目前に迫ったときには、勝負の大半がついている。
 大規模災害発生時の意思決定の困難さは、想像を絶する。
 平時の訓練と備えがなければ、危機への対処はほとんど失敗する。

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【Ⅱ 直面する危機への対応 直面する危機への対応 直面する危機への対応】

4 住民やマスコミからの電話が殺到する。コールセンター等を設け対応すること。

 被災前後は、電話が殺到し災害対策本部が機能不全に陥る。
 それぞれの部署が銘々に電話対応するのではなく、専門のコールセンターを
 設けるなどして、職員が災害対応に集中できる環境を整えること。

5 とにかく記録を残すこと。

 様々な記録は、必ずその後の災害対応に生きるので、被害状況、 
 対応状況、現場写真等、部署ごとに詳細な記録を取るよう命じておくこと。

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【Ⅲ 救援・復旧・復興への対応】

3 職員には、職員しかできないことを優先させること。

 職員の数は限られている。他からの応援があっても、
 職員がしっかりと受援体制を取ることができないと、効率的に機能しない。

5 記者会見を毎日定時に行い、情報を出し続けること。
 「逃げるな、隠すな、嘘つくな」が危機管理の鉄則。
 マスコミは時として厄介であるし、仕事の邪魔になることもあるが、
 その向こうに市民や心配している人々がいる。

 …災害後、被災住民にとって一番つらいのは世間から忘れ去られることである。
 …良いことも悪いことも報道されるが、たくさん情報発信のあった被災地に
 支援が集まる傾向がある。

11  職員を意識的に休ませること。

 災害対応は長期戦になる。休みや休憩を職員任せにすると、
 職員は他市区町村の応援者やボランティアに気兼ねし、休むことができず疲弊する。
 自衛隊は不眠不休だが、自衛隊員は交代で休んでいる。組織的に職員を休ませること。

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いかがでしょうか? 

これらの条文は危機管理の要点を伝えており、
有事の際も適切に対応する視点が詰まった「貴重なメッセージ集」と言えそうです。

近年の自然災害は甚大化・複合化の傾向があり、長期化の傾向もあります。
風水害、大地震、土砂災害、さらには感染症リスク、など様々なことを考慮して
長期的に対応しなければならないケースも出てきます。

そうした自然災害リスクを考慮して私が注目したのは、
この「災害時にトップがなすべきこと」24か条のメッセージの中の

「職員を休ませること」

という部分です。

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災害対応にあたる皆様はその使命感から、不眠不休の対応になることがあります。
実際に令和6年能登半島地震の際も、現地の公務員の皆様がフル稼働して働き続けた、
との情報も届いています。

ですがフル稼働の勤務体制は、ほぼ確実に組織の機能不全や、職員の心身の不調の原因となります。

大規模災害時の勤務は長期戦となります。他の自治体などからの受援を受けながら、
組織体制をコントロールする必要があるわけです。

そのためにも、管理職の皆様が意識的に職員を休ませることは大切です。
しっかりと休養の時間帯を設けることで、結果として組織の機能不全を防ぐ、という側面があるわけです。

そしてこの「被災地首長の24か条のメッセージ」の視点は、官民問わず活用できる情報です。
ぜひ多くの皆様がこの情報を共有され、より良い危機管理体制を構築していただければと考えます。

今回のまとめです。

・「災害時にトップがなすべきこと」24か条は、有益な情報多数。
・有事の際、「職員には職員にしかできないことを優先」との業務分担も重要。
・大規模災害時の対応は長期戦。「職員を意識的に休ませること」も必須の時代。

皆様のご参考になれば幸いです。
(講師:高木圭二郎)


この記事を書いた人

高木 圭二郎(たかぎ けいじろう) 

研修講師・フリーアナウンサー トークレスキューNEXT代表
(元 茨城放送アナウンサー兼 ディレクター・報道記者)

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