講師の高木です。
元ラジオ局アナ・報道記者の経験から、全国各地の自治体・公的機関で
「危機管理・マスコミ対応研修」や「説明力向上研修」などを行っています。

今回のテーマはこちら。
「自治体SNS 災害時の情報インフラとして整備・活用を(2)」

(画像はイメージです)

前回の記事はこちら。
【研修コラム】自治体SNS 災害時の情報インフラとして整備・活用を(1)【更新20251212】
https://talkrescue.jp/archives/4012

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前回の記事では

「自治体・公的機関のSNSの整備は、今や必須の時代」
「X(エックス・旧ツイッター)は情報の拡散性や即時性に強い」
「自治体SNSは、災害情報を伝える情報インフラにもなる」

などの解説をしました

今回は自治体・公的機関のSNS運用の実情に迫りたいと思います。

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私は、全国各地の自治体・公的機関の皆様を対象に、
「危機管理・マスコミ対応研修」や「情報発信力研修」を行っており、
講義の中で、SNSの重要性も再三伝えています。

ですが、時々このような反応をされることがあります。

「SNSの重要性は、重々承知している。でも…」

という反応です。

研修を受講された公務員の皆様に詳しくお話を伺うと、

「うちでは対応しきれない…広報体制が不十分…」
「広報担当の人手が足りない…秘書課が広報担当を兼ねている…」
「広報誌や報道対応の仕事で手一杯…」
「SNSを始めたら、担当者が24時間365日働くことになる…」
「SNS運用の外部委託も考えたが、お金も手間もかかる…」

などの切実な声が聞かれるのです。

特に人口や職員数が少ない自治体でこの傾向が見られます。

ですが近年はSNS全盛の時代。

SNSが災害時の情報インフラにもなることから、自治体・公的機関の皆様には、
ぜひ適切なSNSの整備・運用を検討していただきたいと思っています。

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事例を紹介しましょう。

石川県穴水町の公式アカウントを紹介させていただきます。

【能登半島地震】石川県穴水町|公式
@anamizu_town
https://x.com/anamizu_town

2025年12月時点でこのアカウントのトップ画面には

「令和6年能登半島地震を受け、急きょアカウントを開設いたしました。
震災に関する情報を発信していきます。」

との情報が掲載されています。
能登半島地震後の急造アカウント、と虚飾なく伝えているわけですね。

ですが2025年12月時点でフォロワーは、約7,700人。
能登半島地震や防災関連の情報だけでなく、
現地の情報が画像や動画などとともに、こまめに更新されています。

石川県穴水町のX(エックス)は、情報の質・量、更新頻度のいずれも充実。
自治体・公的機関のSNSのお手本の一つと言えそうです。

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さて、自治体・公的機関のSNSの運用に話を移しましょう。
ここではX(エックス)での情報発信のヒントをお伝えしたく思います。

Xに絞って説明するのは、情報の拡散性・即時性の優位性があるためで、
他の主要SNS(LINE、Facebook、インスタグラム等)でも
以下のポイントを意識して、情報発信をしていただければと思います。

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■ 自治体向け X(エックス・旧ツイッター)活用事例

(1)関係機関の情報をそのまま発信(リポスト)する

・気象庁 地震、津波、大雨、大雪、竜巻、台風等
・日本道路交通情報センター 道路情報
・電力会社 停電情報 など

(2)自治体独自の情報を発信する

・避難所情報
・広報誌掲載情報・防災無線情報 など

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解説しましょう。

災害時など有事の際は、関係機関の情報をリポスト(共有・拡散)するだけでも
地域住民向けとな、住民の安心安全に直結します。

さらに災害が長期化した際は、自治体独自の情報
(=避難所の開設状況、給水情報などの生活情報)を発信すれば、
多くの被災者に有益な情報となり、これも住民の安心安全につながります。

ですが現実問題として、SNSを運用していない自治体もあります。
こうした自治体では、「災害時の生活情報を防災無線で流すだけ」という所もあるようですが、
それは非常にもったいない話。

災害時に防災無線の原稿があれば、それををそのままXなどのSNSで流すだけでも
日本全国・全世界に情報を伝達でき、災害時の公的情報として多くの方に届くわけです。

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SNS運用のポイントをさらに補足します。
自治体・公的機関のSNS運用では「特定の人任せにしないこと」が重要です。

「SNSはあの人に任せておけば大丈夫」との考えは、一見頼もしそうで、
実はリスクが大きい運用の手法です。
「担当者不在時に、SNS運用が滞ってしまう」など、属人化のリスクがあるためです。

よって自治体・公的機関のSNS運用では、

(1)SNS担当班を編成。複数人体制を整える。
(2)予算を組み、SNS関連の研修・教育も実施。
(3)組織的に継続的な情報発信を行う。
(4)投稿内容は常にチェックし、ネット炎上を未然に防ぐ。

などの対応が必要となります。

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今回のまとめです。

・自治体SNSは、今や情報インフラ。未整備の自治体はぜひ早期整備を。
・X(エックス)は情報の即時性、拡散性があり、災害時の情報インフラにもなる。
・自治体等のSNS運用は組織戦。予算を組み、継続的な対応が必要な時代。

以上、皆様のご参考になれば幸いです。
(講師:高木圭二郎)


この記事を書いた人

高木 圭二郎(たかぎ けいじろう) 

研修講師・フリーアナウンサー トークレスキューNEXT代表
(元 茨城放送アナウンサー兼 ディレクター・報道記者)

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