講師の高木です。
このコラムではスピーチを控えた皆様や
人前で話す皆様向けの記事を掲載しています。
きょうのテーマは「早口」
話し方の講師となってから
「自分の早口が気になる」
とのご相談を時々いただきます。
「話しているとついつい早口になる…」
「人から早口だと指摘を受ける…」
「でも自分でブレーキを掛けられない…」
といったお困りごとです。
そんな皆様にご提案するのは
「早口の使い分け」です。
なぜかというと早口にはメリットとデメリットの
両方があるからです。
まずは早口のメリットから確認しましょう。
早口になると大量の情報を伝えられます。
早口になる方々は専門知識や情報量が豊富です。
その分野の知見も多く、
「○○についてはいくらでも話せる」となり
話すリズムが早くなる、というケースです。
早口の強みとしては、知識の豊富さや、
言語化能力の高さを示すという一面があります。
また早口は場の盛り上げや、笑いを生む効果があります。
最近のバラエティ番組やフリートークは、驚くほどの早口。
言葉のリズムや感覚的な面白さを生むには、
早口でなければならない、という側面もあります。
そして早口は迫力も生みます。
スポーツ実況の現場ではわずか数秒で状況を伝えます。
野球実況の場合、ランナーの盗塁は2-3秒、
ホームラン実況は5ー8秒程度、と言われます。
この数秒間に言葉を凝縮して伝えることで、
スポーツ実況の独特の迫力が生み出せるのです。
よって早口は悪い面だけではないのです。
一方で、早口にはデメリットも多くあります。
早口は相手を「威圧」します。
ついつい早口になる「口げんか」がその一例です。
早口は「伝達力」を下げます。
早口は「相手の聞きづらさ」につながります。
早口は「印象」を下げることがあります。
早口は「焦っている人」「知識自慢をしたい人」
「いっぱい話してストレス発散したい人」
という印象すらも生じさせるのです。
では早口対策はどうすべきか?
私の見解は
「早口の使い分けをしましょう」というもの。
早口のメリットとデメリットを踏まえて
「早口も可能。ゆっくりも可能。」
この考え方がおすすめです。
アナウンスのテクニックの一つで
「チェンジ・オブ・ペース(緩急)」という技法があります。
「チェンジ・オブ・ペース」は話すスピードを変える
「緩急の使い分け」です。
これはアナウンサーたちが身に着ける基本技法のひとつ。
「早口も可能、ゆっくりも可能」とすることで、
さまざまなアナウンスやナレーションに対応できるのです。
これらのことをふまえて、今回のまとめです。
早口で悩むのは損です。
早口とゆっくりの使い分けができればOKです。
ビジネスの現場や大事な場面では「基本ゆっくり」
必要に迫られたときや盛り上げるときは「少し早口OK」
こうした「早口の使い分け」がおすすめです。
さらに、聞き手の表情もチェックしながら
「早口とゆっくり口調」の両方を使い分け、
話の相手との間(ま)を意識できるようになると
皆様の印象は大きく改善すると思われます。
皆様のヒントになれば幸いです。
この記事を書いた人
高木 圭二郎(たかぎ けいじろう)
研修講師・フリーアナウンサー トークレスキューNEXT代表
(元 茨城放送アナウンサー兼 ディレクター・報道記者)
講師プロフィール詳細はこちら
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