講師の高木です。
このコラムではスピーチを控えた皆様や
人前で話す皆様向けの記事を掲載しています。
今回のテーマは「楽譜としてのスピーチメモ」
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ズバリ結論から申し上げます。
「メモを見ながら話しましょう」
「だってメモは『楽譜』だから」
ピンときた方もそうでない方もいると思います。
詳しく説明しましょう。
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テレビに出る有名人や政治家の皆さんのコメントは
とても流暢ですよね。
ですが、大事なインタビューや重要な会見などでは
手元の資料やメモを見て話すことも多いはず。
政治の現場でも放送などの現場でも
「カンペ」や「あんちょこ」は日常的に使用されています。
「メモを見ながら話すこと」は不体裁のようで「実はOK」。
それどころか「メモは不可欠」というケースも多いのです。
しかし場の雰囲気や周囲の視線などで、メモを見て話すことに
心理的な抵抗が生じることも多いですよね。
これは「同調圧力」と呼ばれる現象です。
一人だけ違うことを許容しない「場の空気」のことですね。
社会心理学ではこの「同調圧力」と関連深い用語として
「斉一性(せいいつせい)」という言葉を用います。
「斉一性」は「集団内の見えない力」のことで、
社会心理学の専門用語として知られています。
「メモを見て話すのはダメ」というのは、
この「斉一性」の影響もあります。
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さて、人前で話すスピーチやプレゼンなどについて
あらためて考えましょう。
私は講義で「話すことは音楽的要素がある」と説明しています。
声の高低、強弱などの要素はもちろんのことですが、
何をどう話すか、という言語的要素が、
実は楽譜のメロディをなぞる要素と重なる部分があるのです。
学校の音楽の授業を思い出してください。
楽器を自由気ままに鳴らすことは幼児でもできますが、
一つの曲を演奏したり歌い上げるときは、楽譜が必須ですよね。
それと同じで、「何を話すか」の言葉のメモ
(=専門用語で「ワードスクリプト」とも言います)があれば、
よりスムーズに音声での情報発信ができるわけです。
しっかり組み立てられたメッセージ性のある言葉は、
長い時間をかけて作られた楽曲のような完成度があり、
そこには思い付きの言葉には無い「様式美」もあるのです。
音楽と言葉の関係の話に戻りましょう。
一つの楽譜を何度も何度もなぞる中で、楽曲の演奏や歌が上達するように、
話す内容を整理したメモをしっかり音読して、言葉を整えながら話す方が
実はスピーチやプレゼンの上達の近道だと私は考えます。
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その一方で、話す際の諸状況により
「メモを手元に持つことが完全に不可」
というケースもあると思います。
またメモの文字を追いかけてしまうことで
口調が「棒読み」にあるリスクもあります。
それでも、スピーチが不慣れな方々にとっては、
「メモを見ながら話す」という方法は、
「楽譜を見ながら練習」と同じ意味を持つものと思います。
ということで、私からのメッセージのまとめです。
「メモは楽譜」
「楽譜だから見る」
「楽譜をしっかりインプットして、そのうえでアレンジ」
そう考えてみてはいかがでしょうか?
皆様のヒントになれば幸いです。
(講師:高木圭二郎)
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この記事を書いた人
高木 圭二郎(たかぎ けいじろう)
研修講師・フリーアナウンサー トークレスキューNEXT代表
(元 茨城放送アナウンサー兼 ディレクター・報道記者)
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