講師の高木です。元ラジオ局アナ・報道記者の経験から、
研修講師・話し方レッスンの講師として活動しています。

今回のテーマはこちら。
「話す際のあがり緊張問題 実はGOサインです(2)」

(画像はイメージです)

前回の記事はこちらです。
【話し方コラム】話す際のあがり緊張問題 実はGOサインです(1)【更新20251206】
https://talkrescue.jp/archives/2246

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人前で話す際のあがり緊張問題は、誰もが経験する問題、とお伝えしました。
今回のコラム記事では、さらに詳しい解説をしたいと思います。

なお、私は医師ではありませんので、あがり緊張の治療的助言は出来ません。
ここでは、人前で話す際のあがり緊張対策を、一種のSST
(=ソーシャル・スキル・トレーニング=社会訓練)と位置付けたうえで、
話し方の専門家であるアナウンサーの視点で解説したく思います。

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まずは「(1)入念なリハーサル」というポイントから。

入念なリハーサルは、「スモールステップ」の手法と重なります。
スモールステップは文字通り、小さな階段。
人前で話す際に小刻みな準備段階を入れるのです。

話す際の準備活動の一例は、

・スピーチや発表の前に、まず挨拶や雑談で声を出す。
・話す際の立ち位置に立って、光や来場者の視線のイメージを確認する。
・手元にメモをもって、実際に声を出してリハーサルをする。 など。

こうした準備活動は、多くの人が面倒くさいと思ったり、人目を気にして行いません。
ですが、こうしたスモールステップの準備活動は確実に緊張緩和や安心材料につながります。

多くの人は、スモールステップを踏まず、いきなり本番のスピーチを行うため、
あがり緊張でドタバタするのです。

入念なリハーサル=スモールステップの準備活動は、あがり緊張の予防策の一つなのです。

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次に、「(2)脳機能の理解」という点。

前回のコラム記事でも紹介しましたが、
「話す際のあがり緊張は脳、神経伝達物質、自律神経などの働き。
走って汗をかくのと同じくらい自然な脳機能の反応」と言えます。

そこに付け加えてほしいのは、「リフレーミング」の思考法です。

リフレーミングは「思考フレームの再構築」の思考法。
凝り固まった思い込みを、別の視点からとらえなおす、という思考法です。

人前で話す際のあがり緊張が生じると、

・「あがったらうまく話せない…」
・「上手く話せないと、全てがうまくいかなくなる…
・「出来ることなら今すぐこの場から逃げたい…」

などと考えがちですが、リフレーミングの思考法は別の角度からアプローチします。

例えば、このような考え方はどうでしょうか?

・「あがり緊張は誰もが経験する脳機能の話。」
・「あがったまま話しても大丈夫。伝えることは出来る。」
・「あがり緊張は、人間らしくて、むしろ好印象。」

など「思考フレームの再構築」という視点をもつのです。

あがったまま、汗を流しながら、顔色が紅潮したり、逆に青ざめたりしながら話す姿は、
ご本人様にとってはこの上ない苦痛と思われます。

ですが、他人はさほど気にしていません。(本当です)

そして、あがり緊張の状態のまま話す姿は、実はライカビリティ(likeability=好印象の材料)となり
多くの人の共感材料にもつながるのです。

よって、あがり緊張を脳機能の自然な身体反応、ととらえなおす視点も有効なのです。
これは臨床心理学の認知行動療法(CBT)とも重なる部分がある思考法です。

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最後に、「(3)あがり緊張はGOサインの視点」というポイント。

諸事情で、リハーサルも出来ないまま人前で話す、という状況をお考え下さい。
ぶっつけ本番のスピーチなどでは、あがり緊張は容易に生じます。

そんな場面で、極度のあがり緊張=パニックの症状が出たらたらどうするか?

私からの提案は

「あがり緊張をGOサインととらえること。」
「多少辛くても、話し続けること。伝えること。」
「話しているうちに馴化が生じる、と考えること。」

とお伝えしています。

根性論の様ですが、これは脳科学的に考えて、実は筋の通った対策と考えています。

「あがり緊張を抱えたまま話し続ける」と言う行為は、苦痛です。

ですが私たちの脳には「馴化(じゅんか)」という機能があります。
馴化(じゅんか)はひとことで言えば「馴れること、飽きること」。
私たちの脳は「慣れ」が生じるようにできているのです。

皆様もこんな経験はないでしょうか?

「あがりながらも話しているうちに、何だか、緊張がほぐれてきた」

という経験です。これも脳機能の「馴化(じゅんか)」の要素です。

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これらの情報を踏まえて、私から伝えたいことがあります。

人前の話の目的は、メッセージの伝達。

「極度の緊張だから伝えるのをやめる」という視点も分からなくはないのですが、
あくまでも一時しのぎです。

「あがりながらも話し続ける」という行為は、メッセージを「伝える」という目的の達成となり、
聞き手や対象者への現実的対処にもなります。

よって、「あがり緊張はGOサイン。あがったまま、続ける。」

この視点は話す力・伝える力の強靭化になるとともに、
脳機能的に正しい対処で、コミュニケーションの目的達成になるのです。

極度のあがり症・緊張体質の方にとってやや過酷な視点かもしれませんが、
この考え方と行動は、とても重要なポイントでもあります。

スピーチや発表であがるのは当然です。
あがりながら伝えても良いのではないでしょうか。

あがり緊張はGOサイン。

そんな考え方もあることをぜひ知っていただければと思います。
長文となりましたが皆様のヒントになれば幸いです。
(講師:高木圭二郎)

この記事を書いた人

高木 圭二郎(たかぎ けいじろう) 

研修講師・フリーアナウンサー トークレスキューNEXT代表
(元 茨城放送アナウンサー兼 ディレクター・報道記者)

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