講師の高木です。元ラジオ局アナ・報道記者の経験から、
全国各地の自治体・公的機関で「危機管理・マスコミ対応研修」を行っています。

今回のテーマはこちら。

「緊急記者会見で『生年月日』を聞く理由とは?」(画像はイメージです。)

私は茨城放送の報道記者時代、茨城県庁(県政)、茨城県警、水戸市、日立市の
各記者クラブに所属し、多数の緊急記者会見や謝罪会見を取材してきました。

その現場経験を踏まえ、今回のポイントをクイズ形式で説明したく思います。

Q:緊急記者会見の場で報道記者は会見者の「生年月日」を聞くことが多くあります。
  なぜ報道記者が会見者の生年月日(誕生日)を聞くのか?理由は何でしょうか?






皆様、お分かりでしょうか? では回答です。

A:年齢確認のため。

クイズの解説です。

記者会見で生年月日(誕生日)を聞くのは、主に新聞社・通信社の記者です。
新聞記事をよく読むと、この理由がよく分かります。

会見者の「氏名」が記事内で紹介されるとき、「氏名」のすぐ後に(63)などと
「年齢」が記されているのにお気づきでしょうか?(年齢表記は一例です。)

この(63)という年齢表記についても、新聞社・通信社の記者には
「正確さ」が求められます。

例えば、「生年月日=5月11日」という60代の会見者がいて
この人が誕生日の前日=5月10日に記者会見に臨んだ、としましょう。

・インタビュー日時=5月10日。この時は62歳。
・朝刊掲載日=5月11日朝。この日は誕生日で63歳。

などとなりますよね。

よって朝刊には(63)との年齢表記をしないと、「誤報」になるわけです。
つまり「生年月日の質問」は、重要な記者会見では必ず出る質問の一つなのです。

―――――――――――――――――――――――――

事例で説明しましょう。
「知床遊覧船」事故後の会見の事例です。事故概要と会見の概要は以下の通りです。

■知床遊覧船 事故・事故後会見 概要

・事故は2022年4月23日に発生。

・北海道・知床半島の沖合で乗客・乗員計26人が乗った観光船カズワンが遭難。
 記者会見の4月27日時点で 死亡11人、行方不明15人、と発表。

・事故後の記者会見は発生から5日目の4月27日に開かれる。
 会見では、運行会社「知床遊覧船」の桂田精一社長が3度土下座し、謝罪。

という内容でした。

この記者会見の全編の動画は、Youtube上で2024年1月の時点でも確認できます。
そのリンクを紹介しましょう。

北海道新聞 どうしん動画ニュース
「知床遊覧船」桂田精一社長 会見(全編)

https://www.youtube.com/watch?v=8TG6jpdIGm8
(紹介動画はリンク切れの場合があります。ご了承下さい)

この動画の最後の方で、このようなやり取りが生じます。

1:49:15~

男性記者「最後の質問です。年齢を教えてもらえますか?」
女性記者「生年月日を…」
桂田社長「…ノーコメントでお願いします…(照れ笑い?)」

会見に臨んだ桂田社長は、生年月日を問われ、少し照れ笑いをしているように見えます。

しかしこの時、報道記者たちは会見者の正確な年齢を知るためだけに
「生年月日の質問」をしているわけです。

決して「誕生日を祝う」等の理由ではないわけです。

このことから、ぜひ記者会見に臨む皆様や、広報担当の皆様には、
以下のことを知っておいて欲しいと思います。

・記者会見では、会見者の生年月日も問われる。これは年齢確認のため。

・事前に会見者の生年月日のメモを作成しておくと、記者がメモを取りやすい。

死者・行方不明者が出ているような重要な緊急記者会見で、照れ笑いをしてはいけません。
生年月日の情報は、翌日の朝刊の年齢表記につながる、と覚えておいてください。

以上、皆様のご参考になれば幸いです。
(講師:高木圭二郎)


この記事を書いた人

高木 圭二郎(たかぎ けいじろう) 

研修講師・フリーアナウンサー トークレスキューNEXT代表
(元 茨城放送アナウンサー兼 ディレクター・報道記者)

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