講師の高木です。
このコラムではスピーチを控えた皆様や
人前で話す皆様向けの記事を掲載しています。

きょうのテーマは「外郎売(ういろううり)」。

この講座では

「滑舌が悪くて、コンプレックスを抱えている」

というお困りごともいただくことがあります。

そんな皆様に紹介したいのが「外郎売」。

外郎売は今から約300年前の1718年に
二代目市川團十郎が演じた歌舞伎の演目で
一言でいうと「薬売りの口上」にあたります。

「拙者親方と申すはお立会いの中に…」

で始まる文章で、途中から早口言葉のような
言い回しが出てきます。一部を抜粋すると

「野良如来(のらにょらい)野良如来(のらにょらい)、
三野良如来(みのらにょらい)に
六野良如来(むのらにょらい)…」

などの言い回しです。

この「外郎売」を一般的なスピード読むと
全文読破に約5-6分の時間を要します。
実際の演目では約8分かかるとも言われます。

よって外郎売は、発声練習(ボイストレーニング)の
定番の練習法として定着しており、
芸能・放送などの世界や、学校の演劇部や放送部でも
取り入れられることがある練習メニューとなっています。

アナウンサーの世界でもこの外郎売は半ば常識となっており、
学生時代から早口言葉のトレーニングメニューとして
取り入れる方も多いようです。

――――――――――――――――――

そんな外郎売ですが、私の場合、習得したのは
アナウンサー試験の合格後で現場に入ってから。

先輩のアナウンサーから外郎売の原稿コピーをいただき、
毎日つぶやきながら暗記しました。

外郎売は独特の古文かつ長文で、全くの初心者だった
私には実に難解な文言だったのです。

四苦八苦して覚えた外郎売でしたが、覚えた後は

「覚えて良かった」「心の支えにになった」

と実感しています。

なぜかというと、外郎売の文言には発音・発声の力を
高める要素が多数含まれているからです。

外郎売を読み込むと、口周り、舌回りの練習になり、
長文を言い切る必要性から腹式呼吸やボイストレーニングのチェックもでき、
強弱、緩急、間といった話し方の基礎項目も練習できるのです。

「外郎売」の文言を暗記した後は、表現の練習もしました。

歌舞伎の本家の外郎売の映像を見て、表情豊かな言い回しをや
聴衆を惹きつける演劇的要素も確認できました。

これはフリートークやナレーションの仕事にも
応用できる要素でした。

そして外郎売の全文を読むと、表情がほぐれます。

長い口上ゆえ、口周り・舌周りを頻繁に動かします。
これが表情筋や口角のストレッチになるのです。

これはメンタル面にも好影響を与えました。

「外郎売をしっかりやると、達成感がある」
「ウオーミングアップの手順をしっかり踏んだ」など
ルーティンの達成感を実感出来たのです。

数々のメリットがある「外郎売」。

長くて覚えにくい文章ではありますが、
ぜひ皆さんもトライしてみてはいかがでしょうか

「外郎売 全文」等で検索すると、ふりがなや
説明文付きの文章がヒットしますよ。

皆様のご参考になれば幸いです。
(講師:高木圭二郎)

この記事を書いた人

高木 圭二郎(たかぎ けいじろう) 

研修講師・フリーアナウンサー トークレスキューNEXT代表
(元 茨城放送アナウンサー兼 ディレクター・報道記者)

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