【研修コラム】トヨタ会長の記者会見と危機管理広報の考察

講師の高木です。元ラジオ局アナ・報道記者の経験から、
全国各地の自治体・公的機関で「危機管理・マスコミ対応研修」を行っています。

今回のテーマはこちら。
「トヨタ会長の記者会見と危機管理広報の考察」（画像はイメージです）

2024年1月、トヨタグループの不正・不祥事がニュースとなりました。
概要をお伝えすると下記の通りとなります。

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■2024年1月　トヨタグループの不祥事問題

・1月29日、ディーゼルエンジンの生産を委託する豊田自動織機で不正が発覚。
　ディーゼルエンジン出力試験で、燃料の噴射量を調整し都合の良いデータを取得していた。

・この不正発覚で、ディーゼルエンジンを搭載する10車種の出荷停止を発表。
　該当車種は、ランドクルーザーやハイエースなど。

・2022年以降、トヨタグループ傘下の日野自動車やダイハツ工業で不正が発覚。
　＝国の認証試験をクリアするために測定データなどに手を加えていた。

というものです。

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これらの問題については、様々な報道機関がニュースとして取り上げ、
相次ぐ不祥事に対し、厳しい見解が示されています。

NHK解説委員室
トヨタグループ3社で相次ぐ不正 信頼をどう取り戻すのか？
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/491508.html
（※紹介記事はリンク切れの場合があります。ご了承下さい）

神戸新聞
＜社説＞トヨタグループ／品質軽視の悪弊断ち切れ
https://www.kobe-np.co.jp/opinion/202402/0017287625.shtml
（※紹介記事はリンク切れの場合があります。ご了承下さい）

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2024年1月30日、トヨタ自動車の豊田章男会長は、
名古屋市内で記者会見に臨み、相次ぐ不祥事について謝罪しました。

この記者会見の動画は、本日（2024年2月13日）時点で
Youtube動画で全編ノーカットで見ることが出来ます。

テレ東BIZ
トヨタ自動車 グループビジョン説明会【ノーカット】（2024年1月30日）
https://www.youtube.com/watch?v=Z_iRPRW8Eys
（※紹介動画はリンク切れの場合があります。ご了承下さい）

豊田会長は、謝罪コメント後に次のように説明しています。

豊田会長：（10分04秒～）
「当初、グループビジョンは、（創業者の）豊田佐吉の誕生日である2月14日に共有
する予定でございましたが、昨今のグループ会社の状況を踏まえ前倒しをして実施し、
メディアの皆様にも発表させていただくことに致しました。…」

つまり「相次ぐ不祥事を受けて、前倒しで記者会見」というコメント。
この点も事案の重要度がうかがえるポイントと言えそうです。

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不正・不祥事の問題は、根本的な再発防止策が欠かせません。
今回の相次ぐ不祥事に対し、厳しい意見が相次ぐのは当然の流れとも言えますが、
ここでは「危機管理広報」の一点において、私の見解を示したいと思います。

■トヨタ会長の会見と危機管理広報の考察

（１）ニュース性の高い記者会見は、全編ノーカットで動画がアップされる時代。
　＝　不正・不祥事後の緊急記者会見は、一瞬たりとて気を抜いてはいけない。

（２）一方、テレビのニュースで切り取られる映像は１－２分。
　＝　謝罪シーンと不祥事関連のコメントはほぼ確実にニュース映像になる。

（３）組織トップが姿を見せる姿勢は、危機管理広報の重要ポイント。
　＝　不祥事の時こそトップ会見が大切で、報道陣の質問に全て答える姿勢も求められる。

という見解です。

特に（１）記者会見動画が全編ノーカットで流れる、という事情が
ここ数年で大きく変わったところと言えます。

視聴者が見たい時に動画を見る視聴方法を「オンデマンド視聴」と言いますが、
いわゆる「謝罪会見」までもが「オンデマンド視聴」の対象になっているのが
近年のメディアを取り巻く状況なのです。

「謝罪会見」も「オンデマンド」の時代です。

広報担当の皆様や、組織トップの皆様は、こうしたメディア傾向をも理解して
危機管理広報の体制を再確認してほしいと思います。

そして謝罪会見の対応の前に、不正・不祥事を起こさせない体制構築が
より一層求められることは、言うまでもありません。

以上、皆様のご参考になれば幸いです。
（講師：高木圭二郎）

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