講師の高木です。
元ラジオ局アナ・報道記者の経験から、全国各地の自治体・公的機関で
「危機管理・マスコミ対応研修」や「説明力向上研修」などを行っています。

今回の内容はこちら。
「不祥事・事故・トラブル発生! 緊急記者会見、開く?開かない?」

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私は各地でマスコミ対応研修を行っていますが、このようなご質問をよくいただきます。

【質問】 不祥事・トラブルが起きた時、必ず緊急記者会見は開かないといけないのですか?
開くとしたら、どのような問題の時でしょうか?

テレビでよく見る緊急記者会見。連日のように謝罪会見の様子がニュースで報じられますが、
実は「緊急記者会見を開かないケース」も多々あります。

上記の質問に対して、私は講義の中で、このように教えています。

【回答】 「緊急記者会見以外にも、報道発表の手法があります。
クライシス(危機発生)の状況や、組織へのネガティブ報道のリスクを
総合的に判断して、ベストプランを選んでください」

というものです。

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詳しく説明しましょう

緊急記者会見以外の報道発表の方法とはどういうものでしょうか?
報道発表の方法では、主に以下のパターンがあります。

●報道各社・外部関係者への公表手段

1)問合せ対応 =問合せのメディアにのみ個別説明
2)資料配布 =記者クラブへの資料配布(投げ込み)
3)レク付き配布=資料配布時に個々の記者にレクチャー
4)WEB公開 =自社ホームページ、SNSでの告知
5)緊急記者会見=記者クラブまたは別会場での会見

この対処法は、自治体の危機管理課の皆様や、広報課の報道担当の皆様なら
よくご存じの対処法と思われます。

よって不祥事・事故・トラブルの度合いが軽微で、さほど重大でない場合は、

「資料配布、問い合わせ対応、謝罪コメント公開等で済ませる」

というのも、実際の危機管理広報の戦略としては十分考えられるわけです。

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有事の際、伝えるべきキーメッセージについても解説します。

有事の際のキーメッセージは
「①事実説明 ②謝罪 ③再発防止策」などが挙げられます。

これらの情報は、報道機関も確実に質問する項目です。
ですが個別に問合せ対応や電話対応をしていては、説明が追いつきません。
そのような有事の際に「緊急記者会見」という選択肢が有効な手段として出てくるわけです。

なぜなら緊急記者会見は、報道機関への一斉の情報発信の場となり、
組織の見解や、誠意を示す場にもなるからです。

よって緊急記者会見は「マスコミ対応の最終手段かつ重要説明の場」
とも位置づけられるのです。

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さて、2025年10月時点での私の見解も加えてお伝えします。

ここ1‐2年の動向を見ますと、組織不祥事やトラブルが発覚した後で、

「緊急記者会見を開かないケースが、少しずつ増えてきた」
「謝罪コメントの公表で済ませるケースが、徐々に増えてきた」

と感じます。
この背景にあるのは、やはり「SNS等の影響力」「ネット炎上への懸念」です。

「緊急記者会見を開くことで、更なるネット炎上が生じ、実務に影響が出る…」
「実務への影響の他、プライバシー保護等の事情で、会見を開けないケースもある…」

など判断基準がまた一つ加わってきた、と私は見ています。
これは、時代の流れ、とも言える事象です。

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それでも私は、緊急記者会見の選択肢を残すべき、と考えます。

私は危機管理の初動対応3原則として、
「隠さない・楽観しない・迅速に」ということを常に教えています

緊急記者会見を開かないという判断は、状況を隠すことにつながり、
結果として「なぜ隠した?」などとさらなる追求や、信用失墜につながるのです。

緊急記者会見は、信頼回復の第一歩にもなります。

緊急記者会見を開くことで、一時的なダメージが生じても、
総じて考えると、組織の信用回復やダメージ軽減につながることも多いのです。

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これらのことを踏まえて、今回のまとめです。

「有事の際、緊急記者会見以外の選択肢もある。」
「ただし状況に応じたベストプランを選択してほしい」
「緊急記者会見は、信頼回復の第一歩にもなる」

これが今回の私からのメッセージとなります。
長文となりましたが、皆様のご参考になれば幸いです。
(講師:高木圭二郎)


この記事を書いた人

高木 圭二郎(たかぎ けいじろう) 

研修講師・フリーアナウンサー トークレスキューNEXT代表
(元 茨城放送アナウンサー兼 ディレクター・報道記者)

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