講師の高木です。元ラジオ局アナ・報道記者の経験から、
全国各地の自治体・公的機関で「危機管理・マスコミ対応研修」を行っています。

今回は緊急記者会見に関する質問に答えたく思います。

Q:記者会見などで報道記者から予期せぬ質問が来た場合、
  どう対処すれば良いでしょうか?

ここでは不祥事・トラブルの際の緊急記者会見を想定しましょう。

公金横領、職員逮捕、飲酒運転、個人情報漏洩など、不祥事のパターンはさまざまですが、
緊急記者会見時の報道陣の質問は、多岐にわたります。

まず大原則として、マスコミ対応や緊急記者会見は「準備して臨むもの」という点が挙げられます

事実説明、危険性・継続性、原因、再発防止策、今後の見通しなど、
「ここは聞かれるな」という点をリストアップして、事前に想定Q&Aを作成しておくのが重要です。

事案によりますが、想定Q&Aは10~20項目は用意して、そこから枝葉の質問も想定。
さらに補足資料も用意して緊急記者会見に臨む、というのがオーソドックスな手法です。

そして、重要度の高い緊急記者会見の前では、ぜひ会見リハーサルも行ってください。
いきなり報道陣の前で対応するのでなく、会見コメントを事前に練習する、というのも重要です。
練習によって、何が聞かれて、何をこたえるべきか、ある程度は見えてきます。

それでも報道陣は、皆様の想定していない質問を細部にわたって聞いてきます。
特に発生した事実の詳細については、5W1Hの視点で多岐にわたる質問が出てきます。
これは、記者会見時の説明で示された事実が大きなニュースにつながる可能性があるからです。

では返答に詰まった場合、どうするか?

プライバシーにかかわる問題や、捜査線上の問題はどうしても返答しづらいケースがあります。

そうした場合は、

・「その件につきましては、担当部局内で再度確認後、
  記者クラブ幹事社様を通じてご回答申し上げます。」


・「その件につきましては、捜査上の影響が想定されますことから、
  ここでの回答は控えさせていただきますことをご理解ください。」

・「その件につきましては、プライバシーへの懸念がありますことから、
 ここでの回答は控えさせていただきますことご了承ください。」

などと、「コメントは差し控える」という言い回しで対応するのが一つの手法です。

ただし、これでは記者会見時の印象が悪くなり、「何のための記者会見か?」との
不平不満やクレームが生じることが考えられます。

そこで、もう一つの手法が、

「キーメッセージ(重要メッセージ)を繰り返す」
「何度でも丁寧に繰り返す」という手法です。

キーメッセージの代表的な項目は、「事実説明」「謝罪」「再発防止」など。

例えば、「再発防止に努める」という至極当然のことを、謝罪と共に再度伝えても良いわけです。
次のコメントのようなキーメッセージの繰り返しで報道対応をする、というのも一つの手法といえます。

【キーメッセージを使ったコメント一例】

事実説明「現時点で原因は究明中ですが、○○という事実が確認できています。」


謝罪  「関係者の皆様方にご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます。」

再発防止「この件につきましては、再発防止に努めるとともに、職員への指導を徹底します。」

いかがでしょうか。
「回答不可」「ノーコメントと言いたい」との状況でもニュアンスでも、
こうした言い回しならば、一定の誠意は伝わるかと思われます。

その上で補足説明できる部分は補足、との姿勢を示せば、報道陣の矢のような質問を受けても
パニックにならずに済むはずです。

まとめです。

報道記者からの予期せぬ質問で返答に詰まったときは、

・「コメントは差し控える」という対応も一つの手法。ただし多用は禁物。

・キーメッセージ(事実説明・謝罪・再発防止)を丁寧に繰り返す。

などの対応が有効です。

今回は緊急記者会見に臨むトップや幹部の皆様、組織の広報担当の皆様に
特に知ってほしい内容でした。

皆様のご参考になれば幸いです。
(講師:高木圭二郎)


この記事を書いた人

高木 圭二郎(たかぎ けいじろう) 

研修講師・フリーアナウンサー トークレスキューNEXT代表
(元 茨城放送アナウンサー兼 ディレクター・報道記者)

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