スピーチ講座トークレスキューの高木です。
このコラムではスピーチを控えた皆様や
人前で話す皆様向けの記事を掲載しています。

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今日のテーマは「大人数対策」

大人数の前で話すことが苦手な方は多いようです。

式典、発表、プレゼン、朝礼、セミナー、…
懇親会
ひとことコメントすらも
大人数を前にしたスピーチといえますよね。

こんな状況ではないでしょうか?

順番が回ってくる、指名される、
視線が一気に集まる、マイクを渡される、
場合によっては照明が当たる、カメラも向く、…
マイクを通じて自分の声が会場に響く…

そんなとき皆様の身体と心も変化するはず。

心拍数が一気にあがる… 
嫌な汗をかく、顔が紅潮する、
手足が震えることもある
あがり緊張を自分で
コントロールできない感覚になる…

そんなご経験はないでしょうか?

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実はアナウンサー経験が20年程あるの私も、
大人数の前での極度の緊張を幾度となく経験しています。

私はラジオ局のアナウンサー時代に
1万人の前でのインタビューを経験しました。

それは高校野球の優勝選手インタビュー。

地区大会決勝の後、甲子園出場が決まった選手に
報道陣代表としてインタビューをするのです。

球場の大観衆の視線が一気に寄せられる…
報道陣も一斉にカメラを向ける…
自分の声がマイクを通じて球場全体に響く

…という状況でした。

インタビューはかろうじてこなせましたが、
異様な緊張感と高揚感を経験しました。

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そんな私に大きなヒントとなったのが、
ある高校の合唱部の顧問の先生の言葉でした。

その学校は全国の合唱コンクールでも
金賞を何度も受賞している強豪校。

その合唱部の先生は生徒にこんな言葉を教えていたのです。

「いいかい、客席の一番後ろで腕組みをしている、
一番むすっとしたおじさんを、
 あなたたちの歌で笑顔にするんだよ」

私は、「あ、これだ!」と気づきました。

「大人数の場でも「1対1」で語りかければよい」

ということです。

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「会場の100人」対「話す人1人」では
明らかに「話す人」が不利です。

ですが皆さんを圧倒する「会場の100人」は、
実は単なる実態不明の集合体。

「それぞれの人生がある1人1人の集まり」

でしかないのです。

だから一人一人に語りかければよいのです。

この合唱部の先生は、
「会場に集まる1000人の観衆」の実体を
見極めていました。

「それぞれの生活の中で、時間を割いて
 合唱を聞きに来た一人一人の存在」

ということを生徒の皆様に教えていたのでしょう。

「腕組みをする一番後ろの席のおじさん」の
ちょっと寂しがりの心情までも考えて
生徒指導をされていたのかもしれません。

私もこの一言を聞いてから意識が変わりました。

大人数の会場でも、視線が無数にあろうと
「1対1の状況」を意識するようにしたのです。

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私の場合、スポーツのインタビュー時は
実体のない「大観衆」でなく、
「1人の選手」にクローズアップするよう
意識を変えました。

高校野球実況の際も、ラジオの向こうの
「不特定多数」の皆様とともに、
「たった一人」を意識するようにしました。

そのたった一人は「球場のおっちゃん」です。

私が「球場のおっちゃん」と呼ぶ人は、
夏以外の春や秋の試合にも小雨の日でも
熱心に球場に通う高校野球ファンの方。

私が実況練習をしているとときどき飴や缶コーヒーの
差し入れをくれる心優しい「野球ファンのおっちゃん」です。

その人に伝わるように、私は言葉をひとつひとつ
考えながら実況するようにしました。

難しい言葉の多用や早すぎて聞き取れない実況は避けて、
基本に忠実にベーシックな実況をするよう心がけたのです。

すると、どうなったか…

アナウンスの面でもメンタルの面でも
「ブレ」が激減したのです。

「たった1人」を意識して伝えることで、
「大勢の人に伝わる言葉」となったのです。

その「おっちゃん」は、私が2013年の水戸市民球場で
決勝サヨナラホームランを伝えたときに、
こう言ってくれました。

「圭二郎さん、感動したよ!」

もちろん試合の素晴らしさへの賛辞です。

ですが私もその瞬間に立ち会えて
「野球ファンのおっちゃん」はじめ多くの皆様と
劇的な瞬間をともにできたことに
実況アナとしてこの上ない喜びを感じました。

その後、ラジオを聞いていた多くの関係者の皆様から
お褒めの言葉もいただけきました。

「大人数の時こそ1対1の意識」

と対処策の方向性に自信を持つことができました。

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まとめです。

スピーチや発表の「大人数対策」でお困りの皆さん、
どうぞ会場の人数や視線に惑わされないでください。

大人数の際は、

「1対1がいっぱいあるだけ」

と考えましょう。

そしてメッセージを伝えるべき
「たった1人の相手」
を再確認されることををおすすめします。

ちなみにこれは「ペルソナマーケティング」
(=想定顧客1人を定めて商品開発する手法)という
マーケティングの手法にも通じると思われます。

「大人数の時こそ、1対1」

そう考えて、しっかりと語りかけるように
メッセージを伝えてくださいね。

皆様のご参考になれば幸いです。
(講師:高木圭二郎)
[内容更新:2019年7月8日]

この記事を書いた人

高木 圭二郎(たかぎ けいじろう) 

研修講師・フリーアナウンサー トークレスキューNEXT代表
(元 茨城放送アナウンサー兼 ディレクター・報道記者)

講師プロフィール詳細はこちら
https://talkrescue.jp/instructor/profile

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