【研修コラム】自治体と情報発信　千葉県流山市の広報戦略の考察（２）

講師の高木です。元ラジオ局アナ・報道記者の経験から、
全国各地の自治体・公的機関で「危機管理・マスコミ対応研修」や
「情報発信力向上研修」などを行っています。

今回のテーマはこちら。
「自治体と情報発信　千葉県流山市の広報戦略の考察（２）」（画像はイメージです）

今回は前回の記事の関連コラムとなります。

前回の記事はこちら
【研修コラム】自治体と情報発信　千葉県流山市の広報戦略の考察（１）

前回の記事では、

「千葉県流山市は、共働き子育て夫婦＝「DEWKS」
（Double　Employed　with　Kids）をターゲットに広報戦略を展開した」

などと説明しました。

今回は流山市役所が広報戦略上、どのようなアクションや
実務につなげたかを考察したいと思います。

私は自治体・公的機関向けの「情報発信力向上研修」等で
次のように説明しています。

―――――――――――――――――――――――――

■流山市役所と広報戦略（実務面）

・キャッチコピー「母になるなら、流山市。」等

・主な広報活動
　・首都圏主要駅での広告→通勤者にアピール
　・DEWKS世代向けイベント開催
　・テレビ・雑誌等での情報発信
　・フィルムコミッション運営・情報発信力強化
　・ＷＥＢサイト、ＳＮＳ等での情報発信

・施策
　主要駅に「駅前送迎保育ステーション」整備

・効果
　流山市ブランドの向上・シビックプライド醸成へ

―――――――――――――――――――――――――

「そう言えば、過去に流山市のポスターを見た」という方も多いかと思います。
この「母になるなら、流山市。」等の交通広告は多くの方に知られることとなり、
千葉県流山市のブランドイメージ向上につながりました。

関連情報はこちら

流山市公式PRサイト（母になるなら流山市）｜2018年
https://brand.city.nagareyama.chiba.jp/magazine/child-raising/interview-2018/
（※紹介記事はリンク切れの場合があります。ご了承下さい）

人口増加率6年連続1位の流山 移住者を呼び込む戦略の秘訣は？
https://www.nhk.or.jp/shutoken/chiba/article/008/68/
（※紹介記事はリンク切れの場合があります。ご了承下さい）

―――――――――――――――――――――――――

そして注目すべき点は、広告や各種メディア、ネット等への注力だけでなく、
対面型イベントやハード面の整備も重視し、ここでも情報発信を展開したことです。

対面型イベントとの一例として流山市では「そのママ夜会（やかい）」と呼ばれる
催事が、つくばエクスプレスの流山おおたかの森駅近くで開かれてきました。
このイベントはビールやソフトドリンクを飲みながら、子育て、仕事、地域活動など
身近なテーマについて語り合うイベントです。

さらにハード面では「駅前送迎保育ステーション」も整備。
対象者である子育て世代に寄り添う姿勢で支援体制を整えました。

こうした対面型の施策もあり、流山市のファンが着実に増えていったと考えられます。

―――――――――――――――――――――――――

これらのことを踏まえると、千葉県流山市は広報戦略において
「一対の要素」をしっかり実践した、とも言えます。その「一対の要素」は、

・ネットとリアル
・デジタルとアナログ
・ハードとソフト　　　　といった要素です。

「どちらか」でなく「どちらも」という視点。これはとても大切です。

そして千葉県流山市はこの広報戦略に基づき、情報発信を「継続」しています。
何事も継続や積み重ねは大きな成果につながります。
流山市は10年ほどで人口が約5万人増加しましたが、その背景には
「情報発信の継続」があったことも大きな要因と考えられます。

今回紹介した内容は自治体・公的機関の皆様には広く知っていただきたい情報の一つ。
そして民間企業の広報担当の皆様らにも参考になる情報かと思われます。

以上、皆様のご参考になれば幸いです。
（講師：高木圭二郎）

---

---

© 高木圭二郎 2024 All Rights Reserved.
当サイトの全コンテンツの無断転載を禁じます。
無許可の転載、複製、転用等は法律により罰せられます。